2.4 ガンマ線で高エネルギーイオンのふるまいを探る
   


図2-4  高温プラズマ中の高エネルギーイオンのふるまいを調べる実験の配置図

ガンマ線の測定範囲は0.5〜20MeV。

 


図2-5  磁場の揺らぎ(TAEモード)とガンマ線の強度の時間変化

高エネルギープロトンの引き起こす不安定性によって磁場が揺らいで、ガンマ線強度が減少し、プロトン自体が損失していることを示します。2.1MeV及び4.4MeVのガンマ線の強度の変化は、それぞれ2.5MeV以上及び5MeV以上の高エネルギープロトンのふるまいを示すものです。

 


 大型トカマクの高温プラズマ中にはいろいろな反応によってガンマ線が発生します。このガンマ線をプラズマの高エネルギーイオンの計測に用いる方法は、これまでの中性粒子による計測法に代って比較的近年開発されてきました。
 核融合炉では高エネルギーのアルファ粒子(3.5MeV)によって引き起こされる磁場の不安定な揺らぎがアルファ粒子の損失を招くのではないかと懸念されています。JT-60では、イオンサイクロトロン(ICRF)加熱法を用いてプロトンをMeV領域まで加速してアルファ粒子を模擬し、ガンマ線の計測によってこの不安定性を調べています(図2-4)。この結果、磁場の揺らぎの発生に伴ってガンマ線の強度が減少し、従って高エネルギープロトンの密度も減少することを明らかにしました(図2-5)。これはMeV領域の高エネルギー粒子と、この不安定性の関係をガンマ線計測によって初めて示した実験です。


参考文献

近藤 貴他,JT-60UにおけるICRF加熱プラズマのガンマ線計測,プラズマ・核融合学会誌,72,1397(1996).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997
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