2.10 実験炉配管内を動き周り、自動溶接・切断を行う「しゃくとり虫」
   

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図2-13   全体構成、移動台車、溶接/切断ノズル、曲管部通過状況

 


 核融合実験炉の保守点検整備のための遠隔操作の一つに、ブランケットモジュール交換の場合の冷却水配管の切断と再溶接があります。ITERを想定して、内径約100mm、曲がり部最小半径400mmの母管内を移動して、母管につながる枝管(内径50mm、肉厚3mm)の溶接、切断を行うツールを開発し、種々の試験を行い良好な結果を得ました。
 このツールは溶接/切断ヘッド、距離センサー、移動台車A、Bからなりたっています。移動台車A、Bは配管内で押し付け動作を繰り返し、しゃくとり虫のように秒速50cmで移動します。距離センサー部には配管内の移動距離を計測し、所定の位置で溶接/切断ヘッドを管内に固定する駆動源を内蔵しています。所定の位置で芯を出した後、固定されたヘッドからはノズルが枝管内にのび、光ファイバーで導かれた2kWのレーザー光で溶接あるいは切断作業を行います。
 これら4つのパーツは信号線や光ファイバーを通すケーブルで連結され、同時に動きます。ツールが配管内で故障した場合は外からケーブルを引き抜くことで救出が可能です。
 この技術はITERに限らず遠隔自動組立や保守に広く応用が可能な技術といえます。


参考文献

中平昌隆他,遠隔保守用ツールおよび機器の開発,プラズマ・核融合学会誌,73(1), 56(1997).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997
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