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核融合炉建屋のコンクリート構造物などには、強い磁場のため鉄筋に磁気誘導電流が発生し、鉄筋コンクリートが劣化します。このため、鉄筋に代る電気絶縁性で、しかも耐放射線性の高いコンクリート補強材が求められていました。 私たちは組紐状のアラミド繊維(有機芳香族ポリアミド繊維)を、スチレンオキサイドを添加した新しいエポキシ樹脂組成物で硬化して複合材とし、耐放射線性を著しく高めたコンクリート補強材を開発しました。 新しい樹脂は加工性が良いために、直径3mm〜25mmの連続した複合材の製造が可能となり、また、細いアラミド繊維の間に樹脂が均一に入って硬化することにより、非常に強度(1.6GPa)の高い複合材となります。この複合材の強度は同じ重量で比較すると、鉄筋の15倍にもなります。また、耐放射線性は100MGyの放射線照射後でも強度はほとんど低下しません。このことから、この複合材は従来の複合材に比べ耐放射線性が30〜50倍高いことがわかりました。 新たに開発された複合材は、核融合炉用建屋ばかりでなく、通常の建屋のコンクリートに適用すると、落雷時の電磁障害からコンピュータ等の電子機器を保護できます。また、この複合材は将来のリニアモーターカーや超伝導電力貯蔵施設などのコンクリート構造物への適用など用途が極めて広い材料です。 |
参考文献
宇田川昂他,コンクリート補強材としての高耐放射線性アラミド繊維強化複合材料の開発,原子力工業,43(6),34(1997). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997 Copyright(c) 日本原子力研究所 |