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火力発電所や都市ごみ焼却施設から出る排煙中には、酸性雨の原因となる硫黄酸化物や窒素酸化物などの環境汚染物質が含まれています。これらの排煙にアンモニアガスを添加して電子ビーム照射することにより、硫黄酸化物や窒素酸化物を農業には欠かせない肥料である硫安や硝安としてほぼ完全に回収することができます。この技術は原研を中心にして基礎研究が進められました。さらに、我が国ではプラント会社や電力会社と共同でパイロット装置を用い、実用技術の開発と経済性評価が行われました。 この技術が国際原子力機関(IAEA)に取り上げられ、原研とポーランド核化学技術研究所との研究協力となりました。ワルシャワ郊外のカヴェンチン火力発電所に電子加速器2台を備えたパイロット試験装置を設置し、(1)電子ビームの多段照射効果、(2)硫安や硝安の捕集技術の開発、(3)この発電所の排煙に対する電子ビーム法の最適化などを研究しました。この研究協力の成果をもとに、ポーランドのポモジャーニ発電所にIAEAや我が国の援助で排煙処理量27万Nm3/h(石炭火力発電5.6万kW/hのボイラーの排煙量)の実用規模の装置の建設が進められ、平成11年に運転が開始されます。 |
参考文献
O. Tokunaga et al., Electron Beam Flue Gas Treatment: Research Cooperation among JAERI, IAEA and INCT, JAERI-Research 96-053 (1996). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997 Copyright(c) 日本原子力研究所 |