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表3-1 M/Q=5近傍のイオンの加速周波数とエネルギーの関係 |
質量(M)やイオンの価数(Q)から、M/Q=5近傍のイオン・エネルギーとして、例えば表中の4つのイオンがあります。これらのイオンの加速周波数の違いはごくわずかなので短時間に調整できます。 |
サイクロトロン加速器は、水素やヘリウムの軽元素イオンから、アルゴン、キセノンなどの重元素イオンまで多種類のイオンを加速できます。原研では、イオン照射を利用した有機や無機の材料、ラジオアイソトープ製造、バイオ技術などの幅広い研究が行われています。照射するイオンやエネルギーを変えるためには、イオン源でのイオン種の切り替え、サイクロトロン加速器の磁場強度や加速周波数など100を超える加速器のパラメーターを調整しなくてはなりません。このために早い場合でも2時間程度の時間を要し、多種類のイオンを次々と照射したいという利用者の要望には加速器の長い調整時間を必要としていました。 そこで私たちは、カクテルイオンビーム技術の開発に成功し、この問題を解決しました。この技術は、まず、質量(M)とイオンの価数(Q)の比(M/Q)がほぼ一定な多種類のイオンをイオン源で作り、これらを同時にサイクロトロン加速器に入射します。そこで、表3-1に示すようにサイクロトロンの加速周波数をごくわずか調整することによって、例えば4つの種類・エネルギーの異なるイオンを30秒程度のごく短時間の調整で、次々と試料に照射することができます。このため、サイクロトロン加速器の利用効率が大幅に向上し、また多種類のイオン照射により、新しい材料の研究を進めることができるようになりました。 |
参考文献
M. Fukuda et al., Development of Cocktail Beam Acceleration for a Fast Ion Species and Energy Change, JAERI-Review-96-017, 229 (1997). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997 Copyright(c) 日本原子力研究所 |