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これまでに知られている核種の原子核を構成する陽子の数を中性子の数に対してプロットすると、図3-10のように狭い範囲内(安定領域)に分布していることがわかります。この安定領域を離れた核種の研究は、極限領域の原子核の限界と構造や性質に関する新しい知識をもたらします。このような核種は大型の加速器を使用して原子核反応で製造します。しかし、これらの核種は放射性で半減期が短いために、その製造は大きな困難を伴います。 私たちはタンデム加速器に図3-11に示すような実験装置を設置して安定領域を離れた新しい核種の研究を進めています。ガスジェット搬送装置の中でターゲットを加速器からのビームで照射します。反跳により飛び出した核反応生成物はヘリウムやアルゴンガス中の塩化ナトリウムエアロゾルに捕足され、5秒以内にオンライン同位体分離器に運ばれ、イオン化され質量分離されます。最後にオンライン短寿命核分光装置により放射線を測定します。 これまでに新しく発見されたテルビウム(Tb)-166(半減期21秒)、ガドリニウム(Gd)-165(10.3秒)およびサマリウム(Sm)-161(約4秒)は陽子で照射したウランの核分裂で製造します。これらは、中性子過剰の領域に存在し、中性子捕獲とb−崩壊による重元素の合成過程に関連して注目されています。 アメリシウム(Am)-236(4.4分)はウランに6Liを照射して製造します。中性子欠損アクチノイド領域にあり、主として軌道電子捕獲(EC)により崩壊します。娘核種の励起状態から核分裂に至るEC遅発核分裂の特異な過程が予測されています。 |
参考文献
S. Ichikawa et al., Search for Unknown Isotopes Using the JAERI-ISOL, Nucl. Instrum. Methods Phys. Res., Sect. B 125, 1(1997). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997 Copyright(c) 日本原子力研究所 |