4.4 極低レベル廃棄物の合理的処分方法に道を拓く
   

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図4-6  動力試験炉解体における放射性廃棄物の発生量

放射性廃棄物はその種類と放射能レベルにより細かく分類しました。

 

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図4-7  簡易埋設の試験方法

非常に低い放射能レベルのコンクリート廃棄物については、人工バリアを設置しない簡易な方法を用いた埋設試験を行い、その安全性を実証しました。

 


 動力試験炉(JPDR)解体の成功を支えた大きな要因の一つに、廃棄物の合理的処分技術があげられます。 諸外国の原子炉施設解体では、大量に発生する様々な解体物をある放射能レベルで放射性廃棄物と一般廃棄物に区分しています。わが国では、このような放射能レベルによる廃棄物の区分は許されず、人工放射性核種が検出されたものはすべて放射性廃棄物として処理しなければなりません。
 JPDRの解体では、こまめに精密な放射能計測を行い、廃棄物を細かく分類しました。この結果、放射性廃棄物が全解体廃棄物24,440トンのうちの3,770トン(約15%)と、諸外国のプロジェクトと比較して大きな割合を占めました。しかし、このうちの1,670トンは、放射能レベルの非常に低いコンクリート廃棄物でした。この部分は合成樹脂製の袋に梱包し、産業廃棄物と類似の簡易な方法で、東海研究所のサイト内での埋設実施試験に供しました。この方法は、放射性廃棄物を鋼製容器に入れ画一的に管理する従来方式とちがい、その特質に沿って適切に管理するための、将来を見込んだ合理的対処法なのです。埋設試験は、事前のサイトの特長の把握と綿密な安全評価、輸送・埋設作業時の汚染拡大防止策等、周到な計画の基に進められました。
 この試験で確認された作業の安全性や方法の合理性、今後更に蓄積される安全性の実績は、現在検討中の「放射性廃棄物の規制除外数値基準」の参考になるばかりでなく、関心を持つ関係者の信頼醸成にも寄与すると期待されます。


参考文献

阿部昌義他,極低レベルコンクリート廃棄物の埋設実地試験,デコミッショニング技報,15,50 (1996).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997
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