6.1 放射線の有効利用のための基礎データ
   −核データライブラリの高エネルギー領域への新展開−
   

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図6-1  高エネルギー核データの利用分野

 


図6-2  Biの中性子反応断面積

 


 核データとは原子核反応の起こる確率、放射性同位元素の崩壊形式やその際放出される放射線のエネルギーなどの物理量の総称です。核データの評価とは、実験値に核物理理論や統計学を駆使した計算値を加味することによって、最も真値に近い値を推定する作業のことをいいます。評価された核データを一定の書式に従ってまとめたものを評価済核データファイルといい、私たちは汎用核データライブラリ(Japanese Evaluated Nuclear Data Library: JENDL)を開発しています。
 近年、図6-1に示すような加速器工学、宇宙物理・宇宙工学、医学などの分野の研究に利用するため、数GeVまでの高エネルギー中性子、荷電粒子及び光核反応の評価済核データライブラリを作成する計画が始められています。現在、JENDL High Energy File と呼ばれる中性子、陽子及び光子入射による粒子輸送、放射化計算を主目的としたファイルを作成しています。図6-2はこのファイルの内、高エネルギー中性子場の測定に使用が期待されているBi(ビスマス)の中性子反応断面積です。線が評価値を、記号が実験値を表しています。この様な評価済核データ作成を通じて多くの利用分野のニーズに応える努力をしています。


参考文献

深堀智生他,中高エネルギー核データ研究の進展,日本原子力学会誌,37(4), 264(1995).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997
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