6.2 気泡流のふるまいを明らかにする
   


図6-3  内径48cmの垂直管内気泡流の予測

気泡とその周りの液体との相互作用を適切にモデル化することにより、大口径管内での複雑な循環流(流路中央で上昇し、壁側で下降する)での気泡の分布などを高精度に予測できるようになりました。

 


図6-4  オリフィスからの気泡発生及び発生気泡の合体挙動の予測

気泡界面の挙動を高精度にトレースできる数値解析手法を新たに開発し、気泡の生成・合体・分裂といったミクロ挙動を直接予測できるようにしました。

 


 気泡を含む流れ(気泡流)は熱帯魚の泳ぐ水槽内でおなじみですが、気泡の体積割合の水槽内での分布や気泡速度等を計算機上で再現することは今まで極めて困難でした。最近の計算機能力の飛躍的な向上により、従来は1次元の解析しかできなかったものが3次元で解析できるようになり(図6-3)、気泡一つ一つの動きを直接予測できるようになってきました(図6-4)。原子炉の中でも随所に気泡を含む流れが現われます。ご存知のように原子炉の中は高温・高圧の環境であり、その中での気泡の挙動を実験的に詳しく調べることは大変です。ここで紹介した数値 シミュレーション技術を活用すれば大幅に実験回数を減らしたり、実験を補完する詳細な情報を得ることが期待できます。


参考文献

大貫 晃他,多次元二流体モデル構成方程式評価用コードACE-3Dの開発,JAERI-Data/Code 96-033 (1996).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997
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