11.1 世界初の陽子超伝導加速を目指して
   


図11-1  試作したテストスタンドとその性能

 


図11-2  単セル電界特性

 


 東海研究所には超伝導加速器が、すでに2種類も動いているのをご存知でしょうか。一つは電子を光速まで加速する自由電子レーザー用加速器で、もう一つは重いイオンを加速するタンデム・ブースターです。さらに3番目として、大規模で難しい超伝導陽子線形加速器の開発に挑戦しています。
 この超伝導加速器は、1.5GeV(15億電子ボルト)、ビーム出力8MWという世界でも例を見ない強力なものです。加速とともに陽子の速度が大きく変るため、それに応じて8種類の空洞を合計約300個直線状に並べますが、強い加速電界が得られるため、全体で長さ約800mに短くできます。
 超伝導空洞はニオブ材で作り、極低温まで冷やして使いますが、その製作法に多くの技術課題があります。テスト・スタンドを作り、その開発に努力した結果、単セル電界特性試験では、18MV/mを絶対温度2Kで得ることができました。


参考文献

N. Ito et al., Development of Superconducting Cavity for the High Intensity Proton Linac in JAERI, Proc. 18th Int. Linear Accelerator Conf., Aug. 26-30, 1996, Geneva, 671 (1996).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997
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