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窒素、酸素のような常温常圧では気体の2原子分子も、高圧力をかけると絶縁性固体になり、さらに超高圧下では電気を通す金属になることが知られています。このうち酸素は、低温で磁性を示すなど、とてもユニークな物質です。私たちは、この酸素に約100万気圧の超高圧をかけて金属化してから、絶対零度(−273
℃)近くまで温度をどんどん下げて、金属酸素が超伝導になるかどうかを調べました。そしてついに、0.6 Kでそれが超伝導になることを発見しました。
図1-3は金属酸素試料と電気抵抗測定用の白金電極の部分を拡大して超高圧下で撮った写真です。図1-4は金属酸素の電気抵抗の温度変化を、外部磁場Hをパラメータとして測定した結果です。例えば外部磁場が0のとき、温度が0.6
Kで電気抵抗が急激に減少し、超伝導に転移したことがわかります。電気抵抗が完全に0になっていないのは、圧力分布により試料の一部分が超伝導になっていないためで、このような極限環境下の実験ではやむを得ないことです。図1-4の挿入図は、超伝導を特徴づける臨界磁場−温度曲線です。さらに、磁束が試料中から排除されるマイスナー効果も観測し、超伝導であることを確認しました。
私たちは、すでに硫黄も超高圧下で超伝導になることを発見しています。酸素も硫黄も周期律表では同じVIb族に属する元素です。しかし、超伝導転移温度は、酸素が0.6
K、硫黄が15 Kと、大きく異なっています。酸素の場合、磁性が超伝導の発現を抑制しているのかもしれません。これらは、超高圧・超低温の分野の最前線の成果です。
参考文献
K. Shimizu et al., Superconductivity of Oxygen, Nature, 393(6687), 767(1998).
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |