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積分量はある時間内の信号量を累積することであり、自動制御回路の基本量の一つといえます。ただし、長い時間に渡る積分は回路内の揺らぎや外部擾乱信号のため信用に足る精度は得られないとするのが従来の技術常識でした。
磁気閉じ込め核融合炉では、正確な磁場測定は必要不可欠です。磁場の強さは、磁気プローブで検出される磁場の時間変化の積分量として求められます。ITER(国際熱核融合炉)では2,000秒間の磁場の強さの正確な測定が要求されます。最近進展の著しいデジタル技術を応用した積分器を開発しました。新しい積分器の原理概念を図2-13に示します。磁気プローブで発生する雑音信号も積分量として累積されるので、定常的雑音に対して補正が必要です。また、雑音対策として素子の温度制御、プリント基盤の絶縁度の向上、電源の接地法、過電圧信号の除去、アナログ、デジタルのゼロ点リセット等とさまざまな工夫をしました。新しい積分器の2,000秒の磁場測定の精度を従来の積分器の精度と比較して図2-14に示します。従来型積分器は数十秒で誤差(ドリフト磁場量)が大きくなりますが、新しい方式では2,000秒で誤差は無視できることが判明しました。
参考文献
栗原研一他、高精度長時間デジタル積分器の開発、JAERI-Research 97-072 (1997).
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |