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Ti-Al合金は、軽量高強度でしかも耐酸化性に優れていることから、航空機、宇宙材料、そしてエンジンやタービンの部品に至るまでの幅広い活用が期待されています。さらに、原子力材料として、現在もっとも広く利用されているステンレススチールよりも強度が高く、水に対して腐食し難く、かつ放射化が低い等の優れた特徴をもっています。しかし、実用に際しては“延性に乏しい”というこの合金の結晶構造に由来する欠点がありました。
この欠点を克服するために、Ti-Al合金にバナジウム(V)を添加した合金、つまり母材チタン(Ti)に40 %のアルミニウム(Al)及び10 %のVを添加した合金を創製して、強度と延性を大幅に改善しました。図3-9に示したように、従来のTi-Al合金に比べて、例えば500
℃で延び率は3 %から10 %に、強度(降伏応力)は500 MPaから700 MPaに改善されています。
さらに、放射線による影響を図3-10に示しました。電子線を照射したステンレススチールでは材料の劣化をもたらす空孔(ボイド)が多数観測されていますが、Ti-Al合金では、その痕跡がほとんど観測されていません。この研究はTi-Al合金の実用化を飛躍的に前進させました。
参考文献
A. Hishinuma et al., Development and Irradiation Behavior of TiAl-based Intermetallic Compounds, Phys. Status Solidi A, 167, 521 (1998).
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |