![]() |
|||
|
![]() |
|||
|
![]() |
|||
|
脳や脊髄の血管の病気を診断するために磁気断層撮影(MRI)が行われていますが、この時にガドリニウム造影剤(Gd-DTPA:ガドリニウム-ジエチレントリアミン五酢酸)が用いられます。この造影剤は通常、血管検査後短時間で尿と共に排泄されます。
原研では、体内の残留薬剤を測る非常に高感度な新しい手法を開発しました。天然のガドリニウム(152Gdのほかに7種類の同位体が存在)中の152Gdの存在比を0.2%から30%まで高めた濃縮安定同位体を用いた造影剤をラットに投与します。一定時間飼育し、処理した後、動物試料を原子炉照射し、造影剤中の152Gdが中性子照射で放射性153Gdに変化したラット試料から放出される放射線をオートラジオルミノグラフィ法で二次元画像としました(図4-10)。この方法は濃縮された安定同位体152Gdを用いることにより、従来法に比べて150倍検出感度を高めることができました(図4-11)。さらに、この方法によってラットの各臓器への残留153Gd分布、すなわち、これを含む造影剤の分布を求め、この結果、肝臓や腎臓に造影剤が残留することを確認しました(図4-12)。また、従来の放射性153Gdで標識した造影剤を使用する方法は、放射線障害防止法の適用を受けるのに対して、この濃縮安定同位体を用いる方法は、動物への造影剤の投与、飼育までは通常の動物実験施設で行うことが可能です。今後幅広い応用が期待される手法として国内外、特に米国で高い評価を得ました。
参考文献
小林勝利他、ガドリニウム造影剤の体内残留を高感度で検出、Isotope News、2、12(1998).
ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選び下さい。 | ![]() |
たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |