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原子炉炉心設計とは、設計基準や要求仕様を満足するように、炉心構成物の形状、寸法、配置、物質等の設計変数の値を決定することです。従来は、最適な設計変数が見つかるまで、それらの値をいろいろ変えてみてその都度解析計算を行って炉心の特性を調べるという作業を繰り返していました。このため、設計変数が多くなるほど最適な設計変数を見つけるまで、多大な計算時間と豊富な設計知識・経験が必要でした。
最近、電化製品を始め様々な分野でニューラルネットワークが使われています。ニューラルネットワークは、人間の神経回路網を計算機上で模擬したもので、人間の脳と同様に、学習を重ねるにつれて精度の良い出力を与えてくれます。ニューラルネットワークのレスポンスは非常に速いので、設計変数を入力信号、炉心特性を出力信号に見立て、時間を要する解析計算の代わりをニューラルネットワークにさせて、設計にかかる時間を短縮することを考えました(図5-1)。
ニューラルネットワークは、一般的に回路網が複雑になるほど、つまり、ニューロン(神経細胞)の個数やニューロン間の結合数が多いほど、また、学習例が多いほど、正しい答えを出してくれます。これまでの研究で、比較的単純なニューラルネットワークにより、十分な精度で解析計算の代わりができることがわかりました。また、設計変数が3個の場合、解析計算に頼ってきた従来に比べ、計算時間は数十分の一に短縮できることがわかりました。計算例を図5-2に示します。
参考文献
T. Kugo et al., Application of Neural Network to Multi-Dimensional Design Window Research, Proc. Physor '96., Sep. 16-20, 1996, Mito, 1, B73 (1996).
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |