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核融合プラズマの全体像を把握するためには、温度が数億度にも達する炉心近くでの高エネルギーの原子核や高電離多価イオンの反応はもとより、第一壁・ダイバータ周辺の低温プラズマ中に生ずる原子や分子の多種多様な反応についても、“反応断面積”などのミクロな過程に関する各種の精確なデータが必要となります。
原研では早くから核融合開発の基盤データとして、原子・分子の反応に関するデータを広範に収集し、評価してデータライブラリ、JEAMDLとして取りまとめ、研究開発に供してきました(図5-5)。
私たちは最近、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、クリプトン及びモリブデンの高電離イオンのスペクトル約19,000本について、波長、エネルギー準位、遷移確率などのデータ評価を行い、スペクトルデータベースとして整備しました。ITERなど将来の核融合炉では、炉壁材として鉄族周辺元素材を用いることが検討されており、このデータベースは、炉心プラズマに混入した炉壁材不純物イオンの同定に必須のものとして利用が期待されます。また核融合プラズマ実験において、不純物イオンの発光の分光計測からプラズマの温度を求めたり、不純物イオンからの光放射によるプラズマのエネルギー損失を定量的に評価する際にも有用です。図5-6はデータベースの一例で、鉄の23価イオンの同定に用いられる代表的なスペクトル線を示すものです。
参考文献
T. Shirai et al., Grotrian Diagrams for Highly Ionized Iron, Fe VII through Fe XXVI, JAERI-Data/Code 97-026 (1997).
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |