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原研ではITERの工学設計活動の一環として、核融合炉の主要な構成機器の一つである真空容器の工学的安全性について実験的研究を進めています。
真空容器の内部には、第一壁やダイバータなどの直接高温のプラズマに対向する機器が設けられ、これらの除熱のための冷却配管類が無数に組み込まれます。プラズマの不安定などによって、仮に設計値を超える過大な熱が短時間にこれらの機器に局所的に集中するようなことが起こると、最悪の場合冷却管の破断に至り、高温高圧の水が真空容器内に噴出して、水の蒸発による急激な圧力上昇が真空容器の破損を引き起こす恐れがあります。その結果、トリチウムや放射化した微小ダストを含んだ気体が“置換流”として真空容器から流出するという重大な事態が想定されます(図5-7)。
私たちは模擬装置を作って、真空容器内浸水時の水の沸騰蒸発の現象や圧力上昇の過程、さらに容器からの熱やダストの流れの振る舞いなどについて定量的に調べています。得られたデータは早速ITERの安全性解析コードの検証データとして利用されています。図5-8は真空容器内に浸水が生じた場合の容器内の圧力上昇の試験結果です。また真空容器の破損部位の違いにより、破損口部に生ずる“置換流”の振る舞いに差異があることなども明らかにしました(図5-9)。この結果を受けて、ITERの設計では真空容器破損の想定個所を上部から安全上より厳しい側部に変更しています。
参考文献
高瀬和之他、核融合熱流動安全性実験の現状、プラズマ・核融合学会誌、73 (8), 781 (1997).
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |