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シビアアクシデント時の原子炉格納容器や圧力容器の健全性を調べるため、原研は事故時格納容器挙動試験(ALPHA)計画を推進しています。今回、炉心溶融を模擬した規模の大きな工学実験を行い、次に述べるような有用な成果を得ました。
炉心が溶融すると、溶融物は水中に落下し、圧力容器の下部ヘッドに蓄積されます。これを模擬するための実験装置を図6-4に示します。炉心溶融物の固まりをデブリと呼びますが、その模擬物質として酸化鉄とアルミニウムによる発熱反応(テルミット反応)により生成する溶融アルミナを用いました。
約2,700 Kの温度で注入された模擬デブリ(30 kg及び50 kg)の温度は、図6-5に示すように体積で約2倍の差があるにもかかわらず、両者ともほぼ同じように低下しました。
模擬デブリ50 kgを用いたとき、注入後300秒を過ぎてもデブリはまだ約2,000 Kの高温ですが(図6-5)、実験容器外壁の温度(図6-6)は急激に低下しました。これから、デブリと実験容器壁との間には隙間が形成され、そこに水が侵入し、実験容器を急冷したことが推測されます。実験後の超音波測定により、1
〜2 mmの隙間が存在することを確認しました。 炉心溶融時でも、圧力容器内に水が存在すれば、下部ヘッドが健全であることを示唆する有力な知見を得ました。
参考文献
Y. Maruyama et al., Studies on In-vessel Debris Coolability in ALPHA Program, NUREG/CP-0157(2), 161 (1997).
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |