6.5 原子炉解体をコンピュータでシミュレーション
   

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図6-14

原子炉解体の流れ

原子炉の解体作業をコンピュータ上で再現し、最適な解体計画の構築を図っています。


 平成8年3月に終了したJPDR解体実地試験によって、発電用原子炉が安全に解体出来ることが実証されました。ここで得られた知見をもとに、発電用原子炉解体の安全性と合理化をより一層高める必要があります。原研では、原子炉施設の解体が進むにつれて(図6-14(a))刻々と変わる放射線レベル、機器配置等の作業環境や遠隔解体装置の動作状況をコンピュータを用いて分析する、解体作業シミュレーションシステムの開発を進めています。
 このシステムでは、当初の作業環境、機器・構造物の形状、放射能量等のデータを予め入力します。これにより解体区域の作業空間、放射線レベル等が画像として表示されます(図6-14(b))。解体対象機器・切断部位等を指定すると、解体片移動経路の障害の有無、遠隔解体装置の機能適正、放射線レベル等の変化を画面表示します(図6-14(c))。さらに、機器の切断・移動の時間、被曝線量、副次生成物の発生量等の分析を行い、その結果をデータベースに格納し、必要に応じ画面表示します。機器の動きや作業環境の変化を動画としても表示します。一旦基本データを入力すれば、幾つもの解体手順について解析が容易です。いろいろな解体の方法をコンピュータ上に試行することにより、解体装置に求められる機能の検討並びに解体方法の総合的評価が可能になりました。


参考文献

M. Tachibana et al., Computer Simulation System for Analyzing Optimum Dismantling Procedures on Nuclear Facilities, Proc. 6th Int. Conf. on Radioactive Waste Management and Environmental Remediation, Oct. 12-16, 1997, Singapore, 831 (1997).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998
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