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「実効線量」は低レベル放射線の人体に及ぼす影響を表すのに適した線量で、原子力施設で働く放射線作業者ばかりでなく、環境の一般人への放射線影響を評価する線量としても広く用いられています。しかし、この線量は人体中の個々の臓器が受ける吸収線量(臓器線量)を元に定義されており、直接測定することが不可能な線量です。そこで、実効線量を評価するのに、測定器によって直接測定が可能な空気の吸収線量等に線量換算係数をかける方法が一般に用いられています。必要な線量換算係数は、人体モデルを用いた理論的な計算により被ばく条件毎にあらかじめ用意し、その性質を調べておくことが必要となります。
原研では、自然環境に存在するウラン系、トリウム系、カリウム40等の天然放射性核種や、原子力施設から環境中に放出される人工放射性核種の典型的な線源分布条件をモデル化し(図6-15)、シミュレーション計算を用いて換算係数を得るための研究を進めてきました。このシミュレーションでは、環境中での放射線の散乱・吸収を忠実に再現し、詳細な放射線のエネルギー分布と入射方向を計算しました。さらに、数学的な人体モデルを用い、このような放射線場で被ばくする人体の個々の臓器線量を計算し、実効線量を評価します。
この一連の計算解析作業によって、線源の種類とその分布状況、人体の姿勢、体格等、種々の被ばく条件の違いによって生じる実効線量の詳細な変化を明らかにするとともに、それぞれの条件に対応した線量換算係数を整備しました。図6-16,6-17には代表的な計算評価例を示します。この研究により、環境中における実効線量を高い精度で評価することが可能となりました。
参考文献
K. Saito et al., Calculation of the Effective Dose and Its Variation from Environmental Gamma Ray Sources, Health Phys., 74 (6), 698 (1998).
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |