9.1 世界最強の安定発振を達成した原研自由電子レーザー
   

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図9-1

大出力発振に成功した原研自由電子レーザーの鳥瞰図

 

図9-2

レーザー発振出力の図

上のラインは発振点を検出するため放射光モニター、下のラインはレーザー発振の出力です。この場合は、約250 kW出力0.2ミリ秒間発振が持続していることを示しています。

 

図9-3

24ミクロン周辺の光が発振しています。

 

 


 平成10年3月、開発研究中の原研自由電子レーザー(FEL)装置で従来の100倍以上強力な遠赤外光(波長24ミクロン)の非常に再現性のある安定な発振に成功しました。パルス幅は0.4ミリ秒で、光出力はピーク値で1メガワット、繰り返しを考慮した準平均出力で100ワット以上です。
 原研が開発したFELは、発熱損失のない超伝導線形加速器を用いるもので、高効率高出力が得られると言う特長があります。また、FELそのものは、自由に波長を選択でき、しかも単色の光が出せるという従来のレーザーと違う実用性があります。
 平成6年の定格エネルギー15メガ電子ボルトの電子加速に成功、平成7年に最初の自発放射光観測に成功して以来、光共振器の微妙な調整、超伝導加速器用高周波制御系の改善、電子ビームの性能向上などの結果、この様な成功に達しました。


参考文献

E. J. Minehara et al., First Lasing of the JAERI FEL Driven by the Superconducting RF Linac, Proc. 1st APAC '98, Mar., 1998, Tsukuba, 840 (1998).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998
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