9.3 簡単な手順で高精度に放射光ビームラインの遮蔽を計算する
   

図9-7

STAC8コードの計算フロー図

赤の部分が今回の考慮点です。

 

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図9-8

STAC8コードを用いた放射光ビームライン遮蔽計算の概念図  

STAC8コードは放射光ビームの散乱角度依存、直線偏光の影響などを考慮しながら光源スペクトルから遮蔽ハッチの壁側、天井、後壁の任意の位置での漏洩線量まで一貫して計算できます。

 

図9-9

SPring-8ビームライン(BL47XU)での遮蔽ハッチ天井面の線量計算結果例

偏光による散乱効果や実効遮蔽壁厚さ、再生効果も含んでいます。

 

 


 大型放射光SPring-8は蓄積電子エネルギーも8 GeVと高く、ここで得られる放射光ビームは未だかつて存在しなかった程の高輝度、高強度ビームであり、高エネルギー成分が多いという特徴を有しています。このため従来の施設と比較して放射線遮蔽の観点からはかなり厳しい条件となります。この放射光ビームを効率的に遮蔽するために放射光ビームライン遮蔽設計コード「STAC8」を開発しました。このコードは今まで考慮されていなかった光子の直線偏光による散乱過程を取り扱うことができるなど種々の特徴を持った放射光ビームライン専用遮蔽設計コードです。また、このコードは放射光源スペクトルから任意の位置での遮蔽ハッチ漏洩線量まで一貫して計算できます。ベンチマークテストや実用テストの結果から手軽に精度良い結果が得られ、SPring-8だけでなく海外の放射光施設(APSやDARESBURY等)でも強い関心を持たれています。


参考文献

Y. Asano, Shielding Design Calculation of SPring-8 Beamline using STAC8, J. Synchrotron Rad., 5, 1 (1998).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998
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