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高い透過率という特性を生かして、これまで困難だと思われてきた極低温、強磁場、放射線環境下での観察、生きた植物などの透視、タンパク質の構造決定、あるいは構造材料の残留応力の測定など生体から広く物質まで、中性子を科学のプローブとして展開する新しい研究に期待が寄せられています。
その中性子を生み出す“泉”がターゲットです。大強度の陽子を水銀ターゲットに入射すると、核破砕が起こり、多量の中性子を得ることができます。しかしこの時、ターゲット容器に熱衝撃が加わります(図10-5)。熱衝撃は、陽子が入射した経路の物質中で瞬時に発生する熱によって生じ、液体水銀中では圧力が波動となって周囲に伝播し、ターゲット容器では応力波が固体容器中を伝播すると考えられています。ではどの程度の熱衝撃が加わるのでしょうか?米国ブルックヘブン国立研究所の陽子シンクロトロン加速器(AGS)から打ち出した24
GeVのエネルギーを持つ陽子を利用して核破砕実験を行いました。1012個以上の陽子が一瞬にして入射した時刻から数えて100マイクロ秒後に、レーザードップラー測定器により、波動を捕捉することに初めて成功しました(図10-6)。この波動は、ターゲット容器内に発生した熱衝撃によることが、原研が提案した解析モデルにより明らかになりました。この実験結果から、水銀ターゲットの構造設計が可能となります。
参考文献
S. Ishikura et al., Transient Stress Wave in a Heavy Liquid-Metal System at High Intensity Proton-Accelerator, ICM&M '97, JSME Centennial Grand Congress, 89 (1997).
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998 copyright(c)日本原子力研究所 |