2.9 核融合実験炉ITERの真空容器の製作技術の実証
   


図2-14  円環真空容器の1/20分割部分実寸構成図

 


図2-15  工場で製作された二つの半分割 部分A、B

このあとA、B部分は現地環境での組立工法のもと±10 mmの精度で溶接接合されました。

 


 核融合実験炉ITERの真空容器は円環主半径約8 m、断面は高さ約15 m、幅約4 mのD型断面です。冷却水路のためダンボールのような2重構造となっています。多くの部品の溶接で組み立てられ、仕上がり精度は±20 mm以内が要求されます。ITER技術開発の一環として円環型真空容器の円周方向1/20分割部分を実寸で製作し、さらに寸法精度を評価する計算機コードの開発に着手しました。図2-14に1/20分割部分の組立図、図2-15に製作された実物を示します。この段階で寸法精度は±3 mmです。このような構造物を製作する場合、金属溶接時の熱で部材が局所的に収縮し寸法が変化します。製作実績や部分的モデル試験から温度変化による溶接部収縮を経験的に求め既存の計算機コードに取り込みました。その結果3次元複雑形状の溶接に対する手際の良い寸法精度評価が可能となりました。このような実績は国際協力によるITER建設の基盤のひとつとなります。


参考文献

K. Koizumi et al., Fabrication and Assembly of Full-Scale Sector Models for ITER Vacuum Vessel, Fusion Technol., 34 (3, pt.2), 586 (1998).

ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選び下さい。



たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999
copyright(c)日本原子力研究所