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当面の核融合炉では重水素と3重水素(トリチウム)の混合ガスが燃料となります。トリチウムは半減期約12年の弱い放射性物質で外部にもれないよう計量・管理する必要があります。核融合実験炉ITER設計の場合では総量数kgのトリチウムが各種の機器に分散して存在し、常時循環しています。想定される異常事象の場合に地上でのトリチウム水(HTO)の漏れ量数百g以下を自主安全基準としています。この基準を実現するためITERでは燃料に対する3重の隔壁を採用しています。さらには想定される異常事象を素早く検知し的確な処置をとりトリチウム漏洩を極力少なくすることが重要です。このためには炉内の燃料の総量や成分やその変化を正確に把握することが最も有効となります。 ITERの燃料循環系では約0.3 g/秒で燃料ガスが循環しています。燃料の組成や化学変化を速やかに知るため、循環する燃料にレーザー光をあて、ガス分子と相互作用した散乱光を測定するシステムを開発しました。この方式の特徴は循環中のガスを直接に、連続的に精度良く計ることにあります。図2-19にはシステムの構成、図2-20には測定例を示します。ITERでの使用を想定したプロトタイプシステムを製作し1分以内に複数の点で水素同位体の成分誤差1%以内で測定可能なことを実証しました。この技術は化学プロセスの微量組成やその変化を精密に計る技術として幅広い応用が可能です。 |
参考文献
S. O'hira et al., Development of Real-Time and Remote Fuel Process Gas Analysis System Using Laser Raman Spectroscopy, Fusion Technol., 30, 869 (1996). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |