2.12  ITER用大型超伝導コイルの製作技術の実証
   


図2-21  超伝導コイル導体規模の開発の現状

 


図2-22  ITERモデルコイルの断面構成図

八層から成る巻線部は、剛性を高めるため緩衝材と共にエポキン樹脂含浸で一体化されます。
FRP:繊維強化プラスチック

 


図2-23  製作が完了したモデルコイル外観

 


 超伝導コイルは電気抵抗がゼロであり、冷凍機さえ動かしておけば強い磁場を保持できます。核融合実験炉ITERではプラズマに電流を誘起するための1次捲き線として超伝導体を使用します。図2-21には発生磁場と導体に流れる電流値の関係を示します。ITERの要求実現のためモデルコイルを試作しました。導体は46×46 mmのインコロイ製ジャケットと1,080本の素線等から構成されます。大型の場合はコイル成型後に超伝導化熱処理の必要が生じます。インコロイは酸素環境下での熱処理でひびわれるので熱処理中のコイル全体のガス抜きには特別の注意が必要です。またエネルギー損失の小さな導体接続構造の開発も重要です。熱変形に耐える絶縁物構造や加工にもさまざまな工夫をしました。図2-22にコイルの断面図を示すように、材料や配置を工夫して多くの課題を克服してコイルを製作しました。外観を図2-23に示します。この技術は核融合炉の定常運転に必要不可欠です。


参考文献

H. Nakajima et al., Central Solenoid Model Coil Outer Module: Design and Fabrication, Proc. 15th Int. Conf. on Magnet Technol., 361 (1998).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999
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