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図4-2
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接合したレーザー結晶の破壊試験の結果
縁の部分は未接合ですが、結晶A、Bが接合された中央部分は破壊によって凸凹になりました。これは接合部の引っ張り強度が結晶内部の強度と等しいことを意味します。 |
図4-3 | 電子顕微鏡で見た接合面
ひとつひとつの白い点は結晶を構成している原子を示します。接合面に微小な欠陥が1 nmの幅で断続的に存在しますが、接合部位の原子配列はきわめて良好に揃っています。 |
固体レーザー高輝度X線源の開発ではピーク出力がさらに10倍高いペタ(1015)ワットの超高出力固体レーザーシステムが必要であり、そのために歪みが少なくて光学的に良質な大きなレーザー結晶が求められています(図4-1)。しかしこれらの高融点結晶は、単一元素のシリコン単結晶とは違って数種類の元素で構成されるので、従来の方法で大きくすることは極めて困難です。必ず、光学的に不均一な部分ができたり、レーザー作用を引き起こす光学活性イオンの濃度分布が不均一になってしまうからです。そこで私たちは、高品質の小型レーザー結晶を接合して大型化する方法を独自に開発しました。 この接合方法の特徴は、接着剤を使わないことと歪みの原因になる高い接合圧力を加えないことです。強力な励起光に耐える接着剤はありませんし、歪みのある結晶はレーザー性能を低下させてしまいます。私たちは、活性化処理をした研磨済みの接合面を清浄雰囲気中で接触させた後に、融点以下の熱処理を行いました。その結果、レーザー結晶として十分に使用できる原子レベルの接合ができました(図4-2, 4-3)。 現在、接合する結晶の材質を同種から異種に変えて、性能を高めたレーザー結晶についても開発しています。このようなハイブリッド結晶は、レーザー結晶としてだけでなく他の分野においても新たな機能を生み出すものと期待されています。 |
参考文献
A. Sugiyama et al., Direct Bonding of Ti : Sapphire Laser Crystals, Appl. Opt., 37(12), 2407 (1998). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |