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パルス幅が短く出力ピークの極めて高いパルスレーザーの開発は、夢の光源といわれるX線レーザーの実現をめざす多くの研究機関の激しい競争のさなかにありますが、原研では、小型のチタンサファイアレーザーシステムを用いて、パルス幅19 fs(フェムト秒)、ピーク出力100 TW(テラワット)のレーザー光を10 Hzという高い繰り返しで発生させることに成功しました。実験室規模の小型レーザーでピーク出力100 TWを達成したのは世界で初めて、最終目標の1,000 TWに向けて努力を続けています。 現在、世界中が開発に取り組んでいる小型超高出力レーザーは、チャープ・パルス増幅法(Chirped Pulse Amplification: CPA法)とよばれるものです。CPA法は、強度の低い極短パルスレーザーをパルス拡張、増幅、圧縮によって超高出力・極短パルスのレーザー光とする方法です。本方法によるレーザーは、卓上に乗る大きさでテラワット級のピーク出力を出せるので、Tキューブレーザー(Table-Top TerrawattでT-cube Laser)とも呼ばれています。原研が開発しているのもチタンサファイアレーザーにCPA法を組み合わせたものです。しかし、パルス幅を狭くすることとピーク出力を高くすることは、非線形効果のために両立しません。 今回の成果は、パルス幅の広がりが起きないようにレーザー内部においてスペクトルを制御する技術を開発する一方で、ポンプレーザーに用いる10 Hzのパルスあたり7 Jの緑色YAGレーザーの開発、大型チタンサファイア結晶におけるレーザービームの歪み補償の技術、10 fs短パルスを1万倍以上に引き伸ばすパルス拡張器、拡張されたパルスを10億倍以上に増幅するための2台の増幅器、得られたレーザー光パルスを再度1万分の1程度に圧縮するためのパルス圧縮器などの技術開発を総合的に組み合わせた結果です。 |
参考文献
K. Yamakawa et al., Ultrahigh-Peak and High-Average Power Chirped-Pulse Amplification of Sub-20-fs Pulses with Ti: Sapphire Amplifiers, IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron., 4(2), 385 (1998). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |