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大型放射光施設SPring-8の偏向電磁石からの光は100 keVもの高いエネルギーでも強度が大きいため、ほとんど全ての重元素のK吸収端近傍のX線吸収スペクトルを測定することが可能となりました。吸収端エネルギー直上でのX線吸収スペクトルの微細構造はEXAFS(Extended X-ray Absorption Fine Structure)と呼ばれ、これを解析することによりX線吸収原子の周りの局所構造(X線吸収原子の周りの近接原子の個数と距離など)を求めることができます。 今までは、ランタノイドなどの重元素の場合、より低いエネルギーであるL吸収端でのEXAFS測定をしなければなりませんでしたが、K吸収端ではさまざまな利点が多く、これまで以上に局所構造決定の精密化が可能です。 従来より高いエネルギー領域ではX線吸収原子の内殻ホールの励起寿命が短くなるために、EXAFS信号が観測されにくくなると予想されていました(図4-12)。本研究では、他に先駆けて高エネルギー領域でのEXAFS測定に成功しました。図4-13はランタノイドよりさらに高エネルギーである、白金箔(0.1 mm厚)のPt K吸収端(78.4 keV)近傍のスペクトルで、今のところ世界最高エネルギーでのEXAFSスペクトルです。また図4-14にはフーリエ変換で得られた白金原子の周りの局所構造を示しています。今後は多様な物性を示す各種ランタノイド化合物などの、より精密な局所構造解析がなされることが期待されます。 |
参考文献
Y. Nishihata et al., EXAFS in the High-Energy Region, J. Synchrotron Rad., 5, 1007 (1998). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |