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金属原子がいくつか集まってできる集合体(金属クラスター)は、構成される原子数によってその安定性が変化することが知られています。数個から数千個の原子から成る金属クラスターの形を制御することによって、無限個の原子集団から成る固体と違った性質を持つ材料を設計することが可能になります。 原子炉の燃料として使われていた金属ウランは、最近になって超伝導を示す化合物の存在が確認され、盛んに研究が進められています。このような特性を理解するためにも金属ウランの電子状態の解明や金属クラスターの安定性の予測が重要な役割を果たします。 私たちは、非経験的に電子状態を計算できる相対論密度汎関数法を用いて2つのウラン原子間に働く結合エネルギーを詳細に計算して、原子間の距離と結合エネルギーの関係を求めました(図5-7)。そのエネルギーと距離の関係をもとに、原子の集合の仕方を分子動力学シミュレーション法によって解析し、図5-8に示すような金属クラスターの構造を予測しました。ウラン原子数が3、4、5、6、7及び13個の金属クラスターで対称性のよい安定構造をとることがわかりました。また、原子数を増やしていくと金属ウランの結晶構造に近い形態にウラン原子が集まってくる様子を再現することができました。 超ウラン元素と呼ばれるウランより重い元素の中には、まだまだ明らかにされていない魅力的な性質が隠されています。ここで得られた知見は、このような超ウラン元素の物理や化学の基礎研究を進める上で大変役に立つと考えられます。 |
参考文献
S. Erkoc et al., Molecular-Dynamics Simulations of Uranium Microclusters, J. Phys. Soc. Jpn., 68(2), 440 (1999). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |