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先端的な研究分野では、原子や分子1個ずつを制御して物質を造ったり、機能を調べたりしています。現在の半導体メモリーも1つの記憶場所の面積が0.5×0.5 μm2と微小であり、例えば、人工衛星に搭載されている半導体メモリーや演算素子は宇宙線の重イオンがたった1個入射することによって誤動作を引き起こします。また、生物の遺伝子DNAも極わずかな分子配置の違いで突然変異を起こします。したがって、生物細胞も1個の重イオンがあたることによってDNAの遺伝情報に大きな影響を与えます。 原研では、このような極微小な現象の機構を解明したり、また、積極的に細胞加工技術などに応用するため、高エネルギー重イオンを1個ずつ、しかも1μmの精度で狙った位置に照射する技術を世界に先駆けて開発しました。これには、重イオンビームを1 μmφ以下に収束するマイクロビーム形成技術、ビームを狙った位置に照準する技術、多数のイオンから成るビームの中からたった1個のイオンだけを照射するシングルイオンヒット技術が必要です(図6-1)。この中でも、シングルイオンヒット技術の開発が最も難しいものでした。さらに、これらの技術を拡張して多くの場所を1個1個のイオンで短時間に狙い打ちするために、計算機に入力した照射試料の位置データにしたがって自動的にイオンを照準してシングルイオンヒットするシステムを開発しました(図6-2)。 |
参考文献
T. Kamiya et al., An Automated Single Ion Hit at JAERI Heavy Ion Microbeam to Observe Individual Radiation Damage, Nucl. Instrum. Methods, Phys. Res. B, 158, 255 (1999). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |