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プラスチックやゴムなどの高分子材料は電気絶縁性にすぐれ、柔軟性に富み、軽量、繊維にすると高強度であり、耐腐食性があるなどの優れた特長があり、私たちの日常においても広く利用されています。しかし、高分子は放射線や熱に弱いので、このような環境下での使用は限られていました。 一方、高分子材料の特長を生かしつつ、放射線量の高い環境で使用したいという要求があります。これは核融合炉用超伝導磁石絶縁材料、核融合炉や再処理施設の保守・点検用ロボットの電気機器・部品、人工衛星の構造材や太陽電池パドルです。これらは10〜100 MGyの放射線照射と真空または窒素ガス中、温度250℃から−269℃の環境で使用されます。 多くの高分子材料の照射実験から、芳香族系高分子は主鎖に存在する芳香環によって、分子構造が剛直で配向しており、また放射線による劣化反応を起こしにくいことが分かりました。ポリイミド、液晶ポリマー、ポリビフェニルエーテルは真空または窒素ガス中では200 MGyから400 MGyの高線量照射によっても劣化が少ない(図6-11)。これは、一般的な電線絶縁材料であるポリエチレンの200倍から400倍の耐放射線性です。電気絶縁抵抗や絶縁破壊電圧の値は照射によってほとんど変化しません。核融合炉ロボット用として開発した芳香族高分子を絶縁体とした同軸ケーブルやコネクタは窒素中、250℃でγ線100 MGy照射後も強度や可撓性があり、電気特性も十分に使用可能であることが明かとなりました(図6-12)。 |
参考文献
森田洋右他、高分子材料と放射線極限環境、原子力eye, 44 (5), 40 (1998). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |