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核融合炉ブランケットの役割の1つは、中性子を利用してDT反応に基づく核融合炉の燃料となるトリチウムを生産することです。これまで、トリチウム増殖材の特性評価は、In-situ照射試験等により行われていましたが、照射後昇温トリチウム放出試験や少量のトリチウム増殖材を用いたブランケット使用環境の照射条件を設定した照射試験とはなっていませんでした。このため、球状トリチウム増殖材を充填した照射試験体(図9-9)を製作し、中性子照射下におけるトリチウムの生成・回収特性評価や核熱特性評価を大洗研究所の材料試験炉(JMTR)で行いました。 トリチウム増殖材としては、トリチウムの良好な放出特性や化学的特性の観点から、リチウムタイタネイト(Li2TiO3)微小球を選定しました。照射試験体に、直径1 mmのLi2TiO3微小球を約140 g充填(充填密度:62%)し、Li2TiO3に生成したトリチウムを水素添加したヘリウムガスにより炉外に設置したトリチウム測定・回収装置に送り、トリチウム濃度測定を行いました。なお、原子炉の運転中は温度を制御しながら微小球充填領域にヘリウムを流して、トリチウムを連続的に回収・測定できるようになっています。 測定の結果、約140℃でトリチウムの放出がはじまることがわかり、国際熱核融合炉(ITER)の設計で求められている低温(250〜400℃)時でもトリチウムの回収が可能であると結論されました。また、図9-10に示すように、トリチウム放出特性に影響を与える主要な特性パラメータが、充填体内を流れる単位時間当りの水素量である結果を得、水素流量がLi2TiO3微小球表面のトリチウムインベントリーに影響すると考察できました。 これらの結果は、ITERの増殖ブランケット用テストポートの製作のための設計データとして、今後活用されることが期待されます。 |
参考文献
H. Kawamura et al., Tritium Release Behavior from Lithium Titanate Pebbles at Low Irradiation Temperature, Proc. of the 20th Symp. on Fusion Technology (20th-SOFT), Sep. 7-11, 1998, Marseille, France, 1289 (1998). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |