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物質は、地中では地下水とともに移動します。その際にいろいろな岩石(鉱物)に出会います。物質の振る舞いは物質の性質と地中に存在する鉱物によって異なります。では、ウランのような物質はどのように振る舞うのでしょうか。原研では、放射性廃棄物を地中に処分した場合、物質が地中において将来どのように振る舞うかを調べるため、ウラン鉱床などの調査研究を行っています。 オーストラリアの北部にあるクンガラウラン鉱床を調査研究しました。この鉱床は約16億年前に生成し、その後安定でしたが約200万年前から酸素を含んだ地下水が浸入しました。その結果、ウランの一部が地下水中に溶けて、下流に流れました。この現象を計算コードを使って予測するとウランは数km離れた河川に流れ込んでもおかしくない条件にも関わらず、実際には約60 mしか移動していませんでした(図10-4)。この原因を明らかにするため、岩石を採取して、放射能を測定したり、光学顕微鏡、電子顕微鏡で調べました。その結果、ウランは地中に存在するアパタイト(人間の歯と同じ鉱物)の周り(図10-5)や、鉄鉱物の中に濃集(図10-6)していました。濃集の機構を調べるため、オートクレーブ(高温、高圧)を用いた加速実験、鉱物とウランの化学反応実験等を行い、アパタイトや鉄鉱物の表面に吸着したウランが地下水あるいは鉱物に含まれるリン酸などと結合して別の形に変わってしまった(結晶化)ことを明らかにしました。 |
参考文献
T. Ohnuki et al., Change in Sorption Characteristics of Uranium during Crystallization of Amorphous Iron Minerals, J. Nucl. Sci. Technol., 34, 1153 (1997). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1999 copyright(c)日本原子力研究所 |