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11 バックエンド対策に関する技術開発

原子力施設の廃止措置から廃棄物処理処分の実施に向けて

図11-1 バックエンド対策の全体概要

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図11-1 バックエンド対策の全体概要


原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物の処理処分対策は、私たちにとって大変重要な仕事のひとつです。私たちは、研究施設等から発生する低レベル放射性廃棄物(研究施設等廃棄物)の埋設事業実施主体となり、原子力機構以外の大学,民間などで発生する放射性廃棄物も対象とした埋設事業計画を進めています。また、廃棄物の発生から処分に至る関連する技術開発や、廃棄物処理設備及び処分場整備,関連法令整備の支援業務による基盤整備などを行い、原子力施設の廃止措置や放射性廃棄物の処理処分について、合理的かつ計画的実施に向けて、総合的に対策を進めています(図11-1)。

効率的なクリアランス作業の実施に向けて

原子力施設の廃止措置に伴い多量の解体廃棄物が発生します。そのうち、含まれる放射性物質の濃度が人の健康への影響を無視できるほど小さいクリアランスレベル以下のものが多くの割合を占めています。これらの多量のクリアランス対象物を効率的に、確実なクリアランスを実施するため、汚染源,汚染性状等を入力条件として評価対象核種を選定する「クリアランスレベル検認評価システム」の開発を行いました(トピックス11-1)。

合理的なウラン廃棄物処分の実現に向けて

原子力施設からは様々な研究施設等廃棄物が発生します。この中には主要な汚染核種が長半減期のウランを含む廃棄物(ウラン廃棄物)が含まれています。このような廃棄物を安全に処分することは原子力の重要な課題です。ここでは、ウラン廃棄物の余裕深度処分の成立性を確認することを目的に数万年〜数10万年という長期間にわたる安全評価を進めています(トピックス11-2)。

研究施設等廃棄物に含まれる放射性核種の分析技術

原子力施設等から発生した放射性廃棄物を安全に処分するためには、含まれる放射性核種の種類と濃度を把握し、その放射能評価が必要不可欠になります。私たちは、主要な対象施設として、原子力科学研究所の高減容処理施設において放射性廃棄物から製作される溶融固化体を想定し、この溶融固化体試料に含まれる重要核種に対して、コストを抑えつつ定常的に分析できる手法の開発を進めました。この結果、非破壊γ線測定の高効率化,試料前処理法及び核種分離法の簡易・迅速化,長寿命核種に対する測定の迅速化などの技術を確立し、これら成果を廃棄物の簡易・迅速分析法(分析指針)としてまとめました(トピックス11-3)。