1-21 事故廃棄物の処理・処分に向けて

−発電所構内で採取したがれき・伐採木・立木試料の放射能分析結果−

図1-44 がれき等試料のサンプリング地点

図1-44 がれき等試料のサンプリング地点

(Tanaka, K. et al., JNST, vol.51, issues 7-8, 2014, p.1032-1043.,より転載)
がれき試料は、水素爆発が発生した1F1,1F3,1F4付近から採取し、伐採木・立木試料は、北部にあるストックエリアと1F3周辺から採取しました。がれき試料は2012年6月25日と7月27日、伐採木・立木試料は7月26日に採取しました。

 

図1-45 がれき等試料の放射能濃度測定結果

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図1-45 がれき等試料の放射能濃度測定結果

(Tanaka, K. et al., JNST, vol.51, issues 7-8, 2014, p.1032-1043.,より転載)
137Cs濃度に対する3H及び90Sr濃度の関係を示しています。137Cs濃度に対する(a)相関のある核種90Srと(b)相関がない核種3Hがあることが明らかになりました。

東京電力福島第一原子力発電所(1F, 1号機〜6号機を1F1〜1F6)では、137Csや131Iなどの放射性核種を含むがれき・伐採木(がれき等)が大量に発生しました。これらのがれき等の処理・処分方策を検討するためには、放射能に関する情報が必要になります。私たちは、がれき等の特徴を把握するため、図1-44に示す地点で試料を採取し、放射能分析(性状調査)を行いました。

廃棄物の性状調査に関しては、安全評価上重要と考えられる核種(重要核種)を参考に、約30種類の放射性核種を分析対象に選定しました。重要核種の中には、化学分離操作が不要で非破壊測定が可能なγ線放出核種(60Co,137Cs)とともに、化学分離操作が必要となるβ線放出核種(3H,90Sr)やα線放出核種(235U,238Pu)など、多種多様な放射性核種があります。私たちは、これまでに原子力機構の原子炉施設や実験施設から発生する放射性廃棄物を対象に、重要核種に対する体系的な放射性廃棄物分析法を開発し放射能分析を行ってきました。ここで開発された放射性廃棄物分析法をがれき等試料に適用し、分析法の一部を改良することにより、放射能データを精度良く取得することが可能になりました。

このようにして取得した放射能データのうち、検出された核種の例を図1-45に示します。137Csの濃度と(a)相関のある核種90Srと(b)相関がない核種3Hがあり、相関のある核種について、各号機で比率に違いがあることを明らかにしました。今後は、各号機の建屋解体において発生したがれきについての性状調査を進めるとともに、事故進展の解明に必要なデータを蓄積していきます。

本研究は、経済産業省からの受託事業「平成25年度発電用原子炉等廃炉・安全技術基盤整備(事故廃棄物処理・処分概念構築に係る技術検討調査)」の成果の一部です。