7-6 高速炉サイクル移行期の再処理プロセスの確立に向けて

−U,Pu共回収プロセス(コプロセッシング法)の開発−

図7-12 コプロセッシング法のプロセス構成

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図7-12 コプロセッシング法のプロセス構成

従来プロセス(PUREX法)に見られるU洗浄部及び溶媒の移送ラインの一部を削除することで、常にPuにUが同伴した状態で回収し、核拡散抵抗性を向上します。

 

図7-13 分配部への還元剤供給方法

図7-13 分配部への還元剤供給方法

分配部にてPuを四価から三価に還元して逆抽出を行うため、還元剤としてU(W)及びHANを適切な位置に供給します。

 

図7-14 分配部溶媒中でのPu濃度分布

図7-14 分配部溶媒中でのPu濃度分布

溶媒出口(上図右端)にてPu濃度が検出下限値(5×10-5 g/L)以下となっており、すべてのPuが回収されています。

現在の軽水炉サイクルから将来の高速炉サイクルへの移行には数10年という期間を要し、この間軽水炉ウラン使用済燃料のほか、軽水炉MOX(プルサーマル)使用済燃料,高速炉使用済燃料といったPu含有率の異なる様々な使用済燃料が発生します。私たちは、この移行期の様々な使用済燃料を取り扱う再処理プロセスとしてU,Pu共回収プロセス(コプロセッシング法)の開発を行っています。現行の再処理プロセスであるPUREX法ではU及びPuをそれぞれ単独に回収しますが、コプロセッシング法では、プロセス内でPuに常にUが同伴した状態でPuの回収を行うことで核拡散抵抗性を向上させます(図7-12)。

コプロセッシング法の開発は、東海再処理施設小型試験設備において、U/Pu溶液と小型ミキサセトラを用いた試験により行っています。試験では、共除染・分配サイクル分配部でのUとPuの分配に焦点を当て、ここでPuを回収するために供給する還元剤(U(W)(ウラナス),HAN(硝酸ヒドロキシルアミン))の最適な供給方法等の評価を行っています(図7-13)。

これまで、軽水炉ウラン使用済燃料,軽水炉MOX使用済燃料及び高速炉使用済燃料の再処理を想定した供給液中Pu/U比; 1%,3%及び20%の条件での試験を実施しており、すべての条件において分配部でPuがUと共に良好に回収できることを確認しました(図7-14)。また、回収される溶液中のPu/U比は、MOX燃料製造に適した値(Pu/U比;0.5〜2.0)に調整できることを確認しています。今後はプロセスの更なる最適化や遠心抽出器を用いた条件でのプロセス成立性の確認を行っていく予定です。

本研究は、経済産業省からの平成22年度及び平成23年度受託研究「高速炉再処理回収ウラン等除染技術開発」の成果の一部です。