4-13 使用済MA核変換用燃料の処理方法の確立を目指して

−乾式再処理法によるマイナーアクチノイド(MA)窒化物燃料処理技術の開発−

図4-27 乾式再処理法によるMA窒化物燃料処理技術の概略

図4-27 乾式再処理法によるMA窒化物燃料処理技術の概略

溶融塩電解法により、陽極で使用済MA窒化物燃料中のPu及びMAを溶融塩中に溶解し、液体カドミウム(Cd)陰極でそれらの元素をFP元素と分離して選択的に回収します。液体Cd中に回収したPu及びMAは窒化物に再転換し、燃料として使用します。

 

図4-28 MA窒化物燃料乾式再処理技術研究用の設備・装置

図4-28 MA窒化物燃料乾式再処理技術研究用の設備・装置

比放射能の大きなAm試料を用いた試験は、不活性ガス雰囲気の(a)ホットセル・グローブボックス試験設備「TRU高温化学モジュール」の(b)溶融塩電解槽などを用いて行いました。

 

図4-29 試験で得られたAm化合物及び合金試料の外観

図4-29 試験で得られたAm化合物及び合金試料の外観

(c)Am窒化物ディスク状試料(直径約4 mm, 厚さ約1 mm)を用いた溶融塩電解試験によって、液体Cd陰極中にAmを回収しました。また、溶融塩電解で得られた(d)Am-Cd合金を原料として、(e)Am窒化物粉末の調製に成功しました。

 


分離変換技術は、原子力発電で発生する高レベル放射性廃棄物中の元素を、化学的性質と利用目的に応じて分離し、長半減期核種を短寿命核種または安定核種に核変換することによって、放射性廃棄物の減容化・有害度低減を行うもので、放射性廃棄物地層処分の負担軽減に寄与することが期待されています。

私たちは、長半減期核種であるマイナーアクチノイド(MA:ネプツニウム(Np),アメリシウム(Am),キュリウム(Cm))を、加速器駆動システム(ADS)を用いて核変換する技術の研究開発を行っています。本技術では、加速した陽子ビームの金属ターゲットへの衝突で発生する中性子を、MAを含む未臨界炉心に連続的に供給し、核分裂連鎖反応を持続して核変換を行います。効率的な核変換のため、中性子との反応断面積が小さい元素を不活性母材としたウランを含まないMA窒化物燃料を、炉心内に配置する燃料の第一候補としています。これまでの研究で、約2年間の使用期間中に燃料中の約20% のMAを核変換することが可能であることが分かっています。さらに、使用済燃料中に残るMAを分離回収し、燃料として再使用することによって、より多くのMAを核変換する方法が検討されていますが、これを実現するためには、使用済MA核変換用燃料の処理方法を確立することが必要です。

そこで、私たちは、高速炉用金属燃料の再処理技術として開発されている乾式再処理法に着目して研究開発を進めています(図4-27)。本技術では、耐放射線性・耐熱性の高い溶融塩や液体金属を溶媒として使用するため、高濃度でMAを取り扱うことが可能です。また、燃料中に含まれる高濃縮窒素15(15N)を回収し、燃料製造時に再利用することが可能であるという利点もあります。一方、吸湿性の塩を使用するため、不活性ガス雰囲気での処理が必要という課題があります。

これまでに、実験室規模のプルトニウム(Pu)及びMA(Np,Am)試料を用いた試験(図4-28,図4-29)によって、主要な要素技術の成立性の見込みを得ました。また、MAとPuの挙動がよく似ているため、これらの分離が困難であるという核拡散抵抗性の観点からの利点も確認しました。現在は、使用済MA核変換用燃料中に含まれる不活性母材元素(ジルコニウム(Zr)やチタン(Ti))及び核分裂生成物(FP)元素の挙動を詳細に評価するとともに、乾式再処理技術を工学的規模で実現するための研究開発を行っています。