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反応度事故時の燃料挙動研究
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原子炉燃料からより多くのエネルギーを取り出すために燃料の使用期間を延ばすことを高燃焼度化と呼びます。高燃焼度化は、資源の有効活用や燃料サイクルコスト低減などの理由から世界各国で推進されていますが、一方で、被覆管の劣化が進行するなどの可能性も考えられるため、万が一事故が起こった場合についても燃料の安全性に与える影響を十分に検討しておく必要があります。 原子炉安全性研究炉(NSRR)では、反応度事故(RIA)を模擬した実験を行い、燃料の破損が原子炉の安全性に及ぼす影響を評価しています。原子力発電所で長期間使用された燃料棒を対象とした実験に加え、個別の現象を抽出し、その効果を定量化するための実験も行っており、その一環として、被覆管が破損した際に微粒子化した燃料が冷却水中に放出される過程(図3-1)を、予め粉砕して粉末状にした二酸化ウランで模擬した実験を行いました。 この実験により、微粒子化により重量当たりの表面積が増大した燃料が短時間のうちに冷却水中に放出され、多数の燃料微粒子がほぼ同時に冷却水と接触した場合、冷却水の一部が勢いよく持ち上げられる程の激しい蒸気発生が起こることを明らかにし、また、その時に発生する機械的エネルギーの量が燃料微粒子の大きさに依存することを定量的に示しました(図3-2)。同時に、長期間使用された燃料を用いた実験でこれまでに観測されていた冷却水の飛び上がりが、燃料棒からのFPガス放出ではなく、微粒子化した燃料と冷却水との熱的相互作用によるものであることを示しました。 |
●参考文献 T. Sugiyama, Studies on Clad/Coolant and Fragmented-Pellet/Coolant Heat Transfer in High Burnup Fuel Behavior during RIA, JAERI-Review 2004-021, 59 (2004). |
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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果2004
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