11.1 高燃焼度燃料のふるまいを明らかにする計装技術
   

This picture, 57KB


図11-1  照射済燃料棒への中心温度計の装着工程

切断された燃料棒は、炭酸ガスを加圧充填して周囲を液体窒素で冷却し、炭酸ガスをドライアイス化することによって固定されます。燃料ペレットへの中心孔加工は、特殊ダイヤモンドドリルによって行われ、直径2.5 mm、深さ約50 mmの中心孔穿孔ができます。

 


図11-2  ホットセル内に設置された燃料ペレット中心孔穿孔装置本体

 


図11-3  溶接される照射済燃料棒と中心温度計

 


 軽水炉燃料の高燃焼利用の傾向のなかで、高燃焼度燃料の健全性に関する研究においては、特に、ペレット被覆相互作用による損傷(PCI破損)の機構解明が重要となります。PCI破損は、種々の燃料ふるまいが複雑に影響を及ぼしあって起こると考えられています。材料試験炉(JMTR)では、これらの燃料ふるまいを明らかにするために不可欠な再計装実験システムの開発に成功しました。すなわち、軽水炉で照射された燃料棒を照射後試験施設(ホットラボ)に搬入し、これに中心温度計や核分裂生成ガス圧力計などの計測機器を遠隔操作で取り付けて、軽水炉の照射条件を模擬できる容器に挿入します。そしてJMTRを用いて再照射試験を行う、一連のシステムを確立しました。図11-1は、照射済燃料棒内の燃料ペレットに中心孔を開けて、そこに中心温度計を装着するまでの手順を示したものです。また、図11-2は開発した燃料ペレット中心孔穿孔装置の写真です。この装置を用いることにより、照射済燃料ペレットに直径2.5 mmで深さが世界最高である50 mmに達する中心孔加工に成功しました。図11-3は、溶接される照射済燃料と中心温度計を示しています。これらの再計装技術により、燃料挙動解明に必要な貴重なデータを得ることが可能となりました。


参考文献

清水道雄他, 照射済燃料棒への熱電対再計装技術の開発, UO2ペレット中心孔加工技術及び燃料棒組立技術, JAERI-Tech 95-037 (1995).

ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選び下さい。



たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1996
copyright(c)日本原子力研究所