2.1 トカマクの定常運転を目指す
   ―負イオン源中性粒子ビームで電流を流し続ける―
   


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図2-1  ビーム電流駆動と自発電流でプラズマ電流100万アンペアを流す

この実験では既設のビーム入射装置とN-NBを併用しています。N-NBは7秒から7.6秒の間入射しています。ほぼこの間一周電圧がゼロになり、最下段に示すように全プラズマ電流がトランスからの寄与(誘導電流)なしに流れていることがわかります。

 


 定常トカマク炉の実現のため解決すべき重要な課題の一つは、トランスの原理を用いずにトカマクのプラズマ中に連続的に電流を流し続ける技術の開発です。高温のプラズマ中に自然に生ずる“自発電流”を最大限に利用することが基本になりますが、そのためには自発電流を生じやすい圧力の高いプラズマを安定に維持する運転制御法が必要です。
 高エネルギーの中性粒子ビームは炉心プラズマの加熱や電流駆動を外部から制御しながら有効に行えますが、エネルギーが数百keVになると効率の点から高速の負イオンから中性粒子をつくる技術が必要です。
 私たちは負イオンから500keV、10MWの中性粒子ビームをつくるシステム(N-NB)を開発し、JT-60での実験を始めました。現在までにビーム駆動電流と自発電流でプラズマの全電流1MAを全くトランスの助けなしに流すことに成功しています(図2-1)。このような研究開発は次の実験炉への重要なステップの一つです。


参考文献

K. Ushigusa, Steady-State Operation Research in JT-60U, 16th IAEA Fusion Energy Conference, Montreal, Canada, IAEA-CN-64/DP-10(1996).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997
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