2.6 周りの磁場を測ってプラズマ位置形状を即座に可視化する
   

This picture, 121KB


図2-7  プラズマ断面(閉じた磁場の“かご”)の最外周形状の例

この計算から磁場の“かご”の最外周の位置等の従来の制御量に加えて、ダイバータ部の磁力線形状や断面の楕円や三角形成分を正確に知り、制御量とすることができます。
(a)放電開始後時間t=1秒プラズマはまだ壁に触れている(リミターモード)
(b)t=3秒で楕円成分の大きい場合
(c)t=5.5秒でダイバータの付いた標準形の場合
(d)t=6秒で三角形成分の大きい場合

 


 核融合炉では高温のプラズマを磁力線の“かご”の中に閉じ込め、“かご”が壁に接しないように、外部からの制御磁場を適当に変化させる、一種のフィードバック制御方式が採用されます。磁場センサーは磁場の“かご”の外側の磁場を検知します。この情報から磁場の“かご”の様子を推定するわけですが、従来はプラズマ内の電流分布等に多くの仮定を用いて制御量を算出していました。
 最近は、プラズマ断面の楕円成分や三角形成分等を求め、これを正確に制御するとプラズマの閉じ込め性能が向上することが解かってきました。そこで、磁場の“かご”の外側情報から“かご”の最外周の情報を仮定なしで正確にとらえる方法を考案しました。
 プラズマを含む磁力線は微分方程式や積分方程式で表現されますが、複雑形状の方程式を仮定なしで解くことは簡単にはできません。境界積分方程式では積分値の収束性があれば仮定なしで磁場の“かご”の情報を知ることができます。この方法を実用化するのに特殊な高速演算法を開発しました。その結果プラズマの断面形状を仮定なしで、毎秒10コマの速度で算出することを可能としました。


参考文献

K. Kurihara, Development of the Real-time Plasma Shape Visualization System in JT-60, JAERI-Research 97-055 (1997).

ご覧になりたいトピックは左側の目次よりお選び下さい。



たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1997
Copyright(c) 日本原子力研究所