8.2 ケシ粒ほどの材料で特性がわかる新技術
   

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図8-4

(1)計算機制御のマニプレータにより試験片をターンテーブルに装着します。

(2)パンチャにより試験片中央部に荷重を加え変形量を測定します。ターンテーブルを回転し、次の試験片について測定します。

(3)荷重-変位曲線を解析し、延性脆性遷移温度、破壊靱性値等の材料特性データを得ます。

 

 


 従来の強度試験片に比べて著しく小さな寸法(0.1〜数 mm)の微小試験片を利用した材料試験技術の開発は、特に核融合炉材料の開発において重要です。高エネルギーの中性子に曝される核融合炉材料の照射試験は、イオン加速器によって実施されますが、有効なスペースが狭いので照射試料を小型にすることが不可欠です。また、この試験技術は、放射性廃棄物の低減、試験片に限りのある軽水炉圧力容器監視試験片の有効利用等に役立ちます。
 照射試料は放射能を帯びますので、ホットセルでの実施となり、操作はすべて遠隔となります。原研大洗研究所のホットラボではスモールパンチ試験装置、放電加工装置及び微小試料取り扱いの技術開発に成功しました。スモールパンチ試験は、塑性加工試験の一つとしてJIS規格で定めている油圧バルジ試験と類似した試験法で、試験片をパンチャで押し込み、荷重-変位曲線を得ます。この曲線を解析することによって延性脆性遷移温度、破壊靱性値等の材料特性データが得られます。
 引き続いて、照射試料の硬さ試験、衝撃試験等の材料特性を測定する技術開発も鋭意進めていく計画です。


参考文献

近江正男他、微小試験片技術の開発、日本原子力学会誌、39(11), 966 (1997).

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たゆまざる探究の軌跡−研究活動と成果1998
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