成果普及情報誌トップページ未来を拓く原子力2006>8 核燃料サイクル技術開発>8-1

8 核燃料サイクル技術開発

8-1 核燃料サイクルの確立を目指して

−軽水炉における核燃料サイクル技術開発の推進と民間事業者への技術協力−

使用済燃料再処理施設

使用済燃料再処理施設

 

ガラス溶融炉

ガラス溶融炉

 

人形サイト・六ヶ所サイト・東海サイト
拡大図(266KB)


私たちは、我が国の核燃料サイクルに関する技術開発を推進することを目的に、各研究開発拠点において使用済燃料再処理、MOX燃料加工等の各種研究開発(共同研究を含む)を実施すると共に、これまでの研究開発成果を踏まえ、民間事業者による青森県六ヶ所村の原子燃料サイクル事業を支援するための技術移転、技術協力、受託研究、コンサルティング等を行っています。

(1)再処理技術開発

東海再処理施設は、これまでの電力会社の発電炉使用済燃料再処理の役務契約に基づく再処理運転の終了を機に、従来の役務処理運転から研究開発運転へその性格を変え、新型転換炉ふげんのMOX使用済燃料に係る再処理試験、高燃焼度燃料に係る再処理試験及び高放射性廃液のガラス固化処理技術開発を行っていきます。

 

@ ふげんMOX使用済燃料に係る再処理試験
  東海再処理施設では、既に、ふげんMOX使用済燃料について約20トンの処理実績を有しています。

2006年度から行うふげんMOX使用済燃料の再処理試験では、これまでに処理したふげんMOX使用済燃料よりもプルトニウム含有量及び燃焼度が高い燃料を約100トン用いて、溶解特性や溶媒劣化等に関する系統的なデータを採取することを計画しています。

併せて、本再処理試験を通して、環境負荷低減、核拡散抵抗性、経済性向上等の軽水炉再処理技術の高度化に資するための試験を行うことを計画しています。

 

A 高燃焼度燃料に係る再処理試験
  再処理技術に係る技術的基盤の強化を図るため、軽水炉高燃焼度燃料を用いた再処理実証試験を行うことを計画しています。

この高燃焼度使用済燃料の再処理試験においては、再処理に伴って発生する高放射性廃液を用いたガラス固化処理運転の実証や、不溶解残渣(ざんさ)の性状調査、材料腐食挙動調査を行うことを計画しています。

 

B 高放射性廃液のガラス固化処理技術開発
  2004年度に運転を開始した改良型ガラス溶融炉による固化体製造を継続し、改良型ガラス溶融炉の安定運転性に係るデータを採取・蓄積していきます。

また、高減容ガラス固化に関する研究及び溶融炉解体に関する技術開発を行うと共に、経済産業省の公募事業として長寿命ガラス固化溶融炉に関する技術開発を進めていきます。

(2)技術協力

民間事業者による原子燃料サイクル事業は、再処理事業については六ヶ所再処理工場のアクティブ試験の開始、濃縮事業については私たちの技術開発成果を反映させた新型遠心機の実用化に向けたカスケード試験の開始、軽水炉MOX燃料加工事業についてはMOX燃料加工施設の許認可が進められるなど、これまでに私たちが開発・推進してきた各分野の技術成果を基に、我が国の原子燃料サイクル事業実用化にとって重要な展開期を迎えています。このような状況を踏まえ、各事業が確実に進展するよう、事業主体である日本原燃の要請に応じ、私たちの開発成果に基づいた技術協力を積極的に進めていきます。

 

@ 再処理事業に対する技術協力
  日本原燃六ヶ所再処理工場の主工程技術の多くは仏国等から技術を導入していますが、ウラン脱硝技術、ウラン・プルトニウム混合転換技術及び高レベル廃液ガラス固化技術については私たちが開発した技術が採用されています。

私たちは、上記の技術移転の他に東海再処理施設の建設・運転・保守の経験等をもとに、技術者の派遣、技術情報の提供、日本原燃技術者の受入れ、共同研究、受託試験、コンサルティング等により、2007年度の本格操業開始に向けて、積極的に技術協力を行っています。

 

A ウラン濃縮事業に対する技術協力
  国際競争力のあるウラン濃縮遠心機の開発を行うため、私たちが開発してきたウラン濃縮技術を日本原燃に集約することとし、日本原燃がウラン濃縮工場のリプレースに計画している超高性能な新素材胴遠心機(新型機)の開発に寄与するために、私たちの先導機に係る技術情報の提供、技術者の派遣、受託業務等の技術協力を行っています。

 

B MOX燃料加工事業に対する技術協力
  日本原燃は、青森県六ヶ所村において、軽水炉用MOX燃料加工事業を営むことを2000年11月に決定し、現在、六ヶ所MOX燃料加工施設の建設に向けた許認可を進めています。

私たちは、新型転換炉や高速増殖炉用のMOX燃料製造施設の設計・建設・運転に関する技術情報や経験等を蓄積しており、それらの技術情報を六ヶ所MOX燃料加工施設に反映するために、技術者の派遣、日本原燃技術者の受入れ、技術情報の提供、共同研究、受託試験、コンサルティング等の技術協力を行っています。特に、六ヶ所MOX燃料加工施設は仏国から技術を導入することから、私たちが開発した技術による混合転換粉末(硝酸プルトニウムと硝酸ウラニルを1:1の比で混合しマイクロ波で加熱脱硝した粉末)の仏国導入技術に対する適応性を確認することを目的とした実規模MOX確証試験を日本原燃から受託し、行っています。