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8 核燃料サイクル技術開発

核燃料サイクルの確立を目指して

図8-1 「ふげん」MOX使用済燃料の特徴(一例)

図8-1 「ふげん」MOX使用済燃料の特徴(一例)

「ふげん」MOX燃料は、燃焼度は低いもののPu-α比放射能が大きいなど、軽水炉プルサーマル燃料に見られる特徴を有しています。

私たちは、我が国の核燃料サイクルに関する技術開発を推進することを目的に、使用済燃料再処理,MOX燃料加工等の各種研究開発(共同研究を含む)を実施しています。

また、民間事業者による原子燃料サイクル事業として日本原燃株式会社(以下、「日本原燃」という)が青森県六ヶ所村において進めている濃縮事業,再処理事業,MOX燃料加工事業に対して、各事業が確実に進展するよう、私たちの開発成果に基づいた技術協力を積極的に進めています。

1.再処理技術開発

東海再処理施設は、2005年度末で電気事業者との契約に基づく再処理運転を終了し、2006年度からは研究開発運転に移行しました。

2007年2月からの運転(07-1キャンペーン)において、「ふげん」MOX使用済燃料のうち、これまでに処理した燃料(タイプA燃料)よりもプルトニウム含有量や燃焼度が高い燃料(タイプB燃料)を用いた再処理試験を開始しました(図8-1)。今後、数年間かけて溶解特性や溶媒劣化に係る調査等、MOX燃料としての特徴を考慮した試験等を行っていくとともに、ネプツニウム等のマイナーアクチニド核種の挙動・分離等に関する調査や保障措置技術開発など軽水炉再処理技術の高度化に係る試験等も継続して行っていきます。

高レベル放射性廃液を固化するガラス固化技術開発については、2004年度に運転を開始した改良型ガラス溶融炉による固化体製造を継続し、改良型ガラス溶融炉の安定運転性に係るデータを採取・蓄積していきます。また、長寿命ガラス固化溶融炉に関する研究開発や溶融炉解体に関する技術開発を進めていきます。

2.技術協力

(1)濃縮事業に対する技術協力

日本原燃が2006年4月から開始した新素材胴遠心機(新型機)カスケード試験に対し、技術者の派遣,私たちが保有する濃縮技術の日本原燃への承継等の技術支援を継続して実施しました。

また、カスケード試験用遠心機の品質管理,六ヶ所濃縮工場の運転管理業務,遠心機ウラン付着量計測システム等のコンサルティング等を日本原燃から受託して実施しました。

(2)再処理事業に対する技術協力

日本原燃が2006年3月から進めている六ヶ所再処理工場のアクティブ試験について、東海再処理施設での運転・保守経験を有する技術者の派遣、汚染トラブル等への緊急支援としての分析技術指導者等の派遣を行い、アクティブ試験の円滑な遂行に協力しました。

また、東海再処理施設において日本原燃技術者の技術研修を行うとともに、マイクロ波脱硝加熱器電磁場解析、六ヶ所再処理工場ウラン・プルトニウム混合脱硝施設で得られたウラン酸化物の粉末物性測定等を日本原燃から受託して実施しました。

2007年5月には、日本原燃との「再処理施設の試運転に係る技術支援の実施に関する協力協定」の有効期限を延長する変更協定を締結しました。

(3)MOX燃料加工事業に対する技術協力

現在、加工事業許可の安全審査段階にある日本原燃のMOX燃料加工事業については、日本原燃との間でMOX燃料加工施設の建設及び運転に向けた要員支援計画の調整を開始しました。

また、東海プルトニウム燃料製造施設において日本原燃技術者の技術研修を行うとともに、MOX燃料粉末調整設備に係る確証試験等を日本原燃から受託して実施しました。

(4)その他の技術協力

財団法人核物質管理センターからの要請に応じ、技術者の派遣等を行い、六ヶ所地区における核物質管理に関する技術協力を行いました。

また、米国DOEが提唱するGNEP構想に関し、仏国AREVA社と連携して検討を進める日本原燃からの要請を受けて、私たちの保有する技術情報の使用を可能とするよう、2007年6月に日本原燃と技術協力協定を締結しました。