独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)が発足して二年となりました。第一期中期計画の半ばに差しかかったところであり、それぞれの目標の達成に向けて研究開発の加速,必要な軌道修正を行う重要な時期となりました。2007年6月にドイツのハイリゲンダムで開催されたG8サミットにおいて、環境・エネルギー問題の解決に対して原子力の果たす役割の重要性が確認されましたが、原子力機構は、我が国の総合的原子力研究開発機関として、世界的に注目されている原子力エネルギーに関することはもちろん、原子力による新しい科学技術や産業の創出を目指し、その基礎研究・応用研究から核燃料サイクルの確立に向けた幅広い研究開発を着実に行ってきました。
これからも、高速増殖原型炉「もんじゅ」運転再開を始めとする国家基幹技術である高速増殖炉サイクルの確立に向けた研究開発,国際共同で進める国際熱核融合実験炉(ITER)計画など国際的な注目度の高い核融合エネルギー利用システムの技術基盤の研究開発,世界最先端の技術を結集した大強度陽子加速器(J-PARC)の建設など量子ビームの利用のための研究開発,原子力発電を進める上で必須の高レベル放射性廃棄物の処理処分技術など、原子力機構に課せられたミッションに応えられるよう、そして名実ともに原子力に関する世界のCenter of Excellenceを目指して頑張ってまいります。
本誌は、日頃の研究開発から得た最近の成果の中から特徴的なものを選び、わかりやすくタイムリーにご紹介するものとして準備しました。読者の皆さま方には原子力機構の活動に是非ともご理解・ご期待いただきたく、その一助となることを願っております。
日頃よりご支援をいただいております皆さま方には、この場をおかりして感謝申し上げますとともに、引き続き私どもの研究開発へのご指導ご鞭撻を賜りたく、お願い申し上げます。
平成19年9月
独立行政法人 日本原子力研究開発機構 |
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理事長 |