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2 地層処分技術に関する研究開発

地層処分の技術と信頼を支える研究開発

図2-1 地層処分システムの基本概念

図2-1 地層処分システムの基本概念

 

図2-2 原子力機構の研究開発施設
拡大図(238KB)

図2-2 原子力機構の研究開発施設


地層処分は、原子力発電で発生する高レベル放射性廃棄物を、何万年という超長期にわたって人間の生活環境から隔離しておくための対策です。我が国では、まず処分する放射性物質をガラス原料に混ぜ、高温で溶かし合わせてガラス固化体とします。これを金属製のオーバーパックに封入した上で、地下300m以深の安定な岩盤の中に粘土(緩衝材)で包み込んで埋設するのが地層処分です(図2-1)。

地層処分は、候補地の選定から処分場の建設・操業、閉鎖に至るまでに100年を要する長期事業であるため、国が責任を持って、継続的に技術基盤を強化し、社会の信頼を得ながら進めていくことが重要です。そのため、私たちは様々な観点から、地層処分の信頼性を更に高めていくための基盤的な研究開発を進めています。

まず、地層処分の舞台となる深地層を総合的に調べるため、花崗岩と堆積岩を対象に二つの深地層の研究施設計画を進めています(図2-2)。既に、地上からの調査を終了し、現在は地下に坑道を掘りながら、地上からの調査の妥当性などを確認しています。地下の坑道は、深地層の環境や研究現場を体験する場としても活用します。また、深地層の長期的な安定性を評価するため、地下に潜んだマグマを地上から検知する技術や将来の地形変化をシミュレーションする技術など、天然現象の研究を併せて行っています。

一方、茨城県の東海村では、人工バリアや放射性物質の長期挙動に関する実験データなどをもとに、深地層の研究施設で得られる情報も活用して、地層処分の工学技術や安全評価手法の高度化を図っています。2008年度には、長期腐食試験に基づくオーバーパックデータベースの試作や世界初の試みとして信頼度情報を付与した核種移行データベースの開発などを行いました。

また、このような研究開発成果に基づき、地層処分の安全性を支える様々な論拠や科学的知見などを知識ベースとして体系的に管理・継承していくため、知識管理システムの開発を進めています。

地層処分事業については、2035年頃の操業開始を目標に、候補地が公募されているところです。私たちは、我が国の地層処分計画が円滑に進められるよう、処分事業や規制のニーズ、社会の動向などを見定めながら、深地層の研究施設計画を中心とする基盤的な研究開発を着実に進め、処分事業と安全規制を支える技術基盤を継続的に強化していきます。