近年、将来のエネルギー確保や地球温暖化防止が人類の重要な課題として認識されるなか、原子力を取り巻く情勢は世界的に大きく変化し、原子力が果たすべき役割の重要性が再認識されてきています。独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)は、我が国唯一の原子力に関する総合的な研究開発機関として2005年に発足して以来、核燃料サイクル技術の確立をはじめとする原子力エネルギー研究開発から、科学技術の発展や産業創出を目指した原子力の基礎・基盤までの幅広い研究開発を推進してきましたが、2009年度は、第一期中期計画を締め括る重要な時期にあります。
原子力機構は、国家基幹技術である高速増殖炉サイクルの確立に向けた研究開発、その中核施設である高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転再開、いよいよ利用を開始した大強度陽子加速器(J-PARC)をはじめとする量子ビームプラットフォームを基盤とした量子ビーム応用に関する研究開発、青森での幅広いアプローチ(BA)活動の展開も含めた国際熱核融合実験炉(ITER)計画など、国際的にも注目されている研究開発に加え、高レベル放射性廃棄物の処分技術の開発、更には、自らの原子力施設の廃止措置、研究施設等放射性廃棄物の埋設処分事業などを着実に進めることにより、原子力研究開発における世界のCenter of Excellenceを目指した研究開発に、これからも邁進してまいります。
本誌は、研究開発で得られた最新の成果を、タイムリーに分かりやすく紹介するため、原子力機構が発足した年から毎年作成しているものです。多くの方に原子力機構の活動についてより一層ご理解いただくとともに、皆さまとの絆が深まることを願っております。
日頃より、ご支援をいただいている皆さま方には、この場をおかりして感謝申し上げますとともに、今後とも原子力機構の研究開発活動につきまして、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
2009年10月
独立行政法人 日本原子力研究開発機構 |
|
理事長 |