図13-1 核不拡散科学技術開発分野
核不拡散技術開発として、核拡散抵抗性技術及び同評価手法,先進的保障措置の開発、また、核セキュリティ技術の開発を実施しています。保障措置環境試料分析の分野では、国際原子力機関(IAEA)のネットワークラボとして技術支援するとともに、極微量核物質同位体比測定法の開発を通してIAEAに貢献してきています。
2010年4月の核セキュリティ・サミットにおいて、鳩山由紀夫内閣総理大臣(当時)より、核物質計量管理の高度化に資する測定技術や不正取引等が行われた核物質の起源の特定に資する核検知・核鑑識技術の開発に関し、日米で研究協力を実施すること、また、核セキュリティ強化のためにアジア地域を中心にした人材育成支援,基盤整備支援を行うアジア核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(仮称)を2010年中に原子力機構に設置することなどの表明がなされ、現在具体化に向けた検討を行っています。
包括的核実験禁止条約に係る活動として、放射性核種監視観測施設の運用を行い、世界へデータ発信するとともに、各国にある観測所データを収集し解析評価を行う国内データセンターを整備し、国際的な核実験監視体制の確立に貢献しています。
核不拡散関連の人材育成に資するため、IAEAと共同でアジア地域を対象とした保障措置のトレーニングを実施しています。また、核不拡散を研究する大学と共同で研究者の育成に努めるとともに、東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻に対し客員教員を派遣し、連携を進めています。
多くの核物質を扱う機関として自らの核物質を厳格に管理するとともに、国及びIAEAを技術的に支援するなど、査察の効率化に貢献しています。また、核物質防護に係るIAEAへの支援や国内法令改正への的確な対応を実施しています。
世界の核不拡散・核セキュリティに関する動向などを調査・分析し、原子力の平和利用と核不拡散の両立に向けて取り組んでいます。特にアジア地域には、ベトナム,タイ,インドネシア等、原子力発電の導入を進める国において、我が国の経験を踏まえ各国の状況に応じた核不拡散にかかわる基盤整備に向けた支援を実施しています。