図13-2 次世代MOXサンプル用LIBS‐AIRS利用検認システム概念
図13-3 LCSγ線NRF利用使用済燃料中Pu・NDA装置概念
次世代核燃料サイクルでは、取り扱われるプルトニウム(Pu)量は現状に比べてかなり大きなものとなります(特徴1)。また、低除染(核分裂生成物(FP)が多く残留(特徴2))で、かつ、マイナーアクチニド(MA)がリサイクル(付加)される(特徴3)プロセスも提案されております。以下では、これらの特徴的事項から求められる保障措置技術として開発または提案している例を紹介します。
特徴1からは、Pu等の測定誤差に起因する不確定量の累積がより短時間で大きくなり、頻繁な査察が実施されることになるため、より迅速な測定・確認技術開発が必要となります。
特徴2からは、含まれるFPに起因するγ線の妨害により、現状のγ線スペクトル同位体組成比分析が困難なものとなります。更に特徴3から、自発中性子発生量が極めて高い244Cm(240Puの約104倍)の混合が考えられ、現状採用されている中性子同時計数法では、Pu測定が困難なものとなります。このため、新たなPu・非破壊測定(NDA)技術が必要とされます。
特徴2及び特徴3に対応する観点から、新しい保障措置検認技術として、原子力基礎工学研究部門(遠隔・分光分析研究グループ)の協力を得て、レーザー誘起プラズマ発光分光法(LIBS)とアブレーション共鳴吸収分光法(AIRS)を組み合わせた測定技術(図13-2)を次世代燃料サイクルMOXサンプルのPuの濃度・同位体迅速測定に適用すべく取り組んでいます。
また、従来より再処理施設においては、受払差(SRD:払出値(計算値)と回収実績値の差)の累積が処理量とともに増大する課題があり、大量Puを取り扱う次世代サイクルにおいては、その課題への対応がより強く求められます。さらに、燃料ロッドの抜取り・転用が懸念される長期保管使用済燃料の増大に関して世界的な関心が高くなり、困難とされていた使用済燃料中Pu量のNDA技術開発が開始されています。
この課題については、量子ビ−ム応用研究開発部門(ガンマ線核種分析研究グループ)及び核不拡散科学技術センターの共同で、レーザーコンプトン散乱γ線(準単色で透過性の高い1〜3MeV)を利用した、特定同位体識別能力の高い核共鳴蛍光(NRF)法による使用済燃料中PuのNDA装置提案を行っています(図13-3)。
これらの技術のほか、次世代核燃料サイクルに関しては、多くの新しい保障措置技術開発が求められるものとなります。